得体の知れないNHKドラマ「しもべえ」 安田顕の怪演が笑えるが最後は泣くよ
安田顕のおじさんがアブなくて実にかっこいい。NHKのドラマ10「しもべえ」(総合・金曜午後10時)は、女子高校生の鴨志田ユリナ(白石聖)が「しもべのしもべえ」というスマホアプリをうっかりダウンロードしたら、ピンチになると風体怪しいこわもておじさんがどこからともなく現れるようになり、窮地を救ってくれるというコメディー。
不良グループに絡まれていると、砂煙を上げて駆けつけ、ワルどもをコテンパンにやっつけてしまう。カフェでパンケーキ代が足りないと、いつの間にか隣のテーブルに座っていてお金を置いていってくれるし、通学途中のにわか雨に困っていると、傘を差し掛けて急げと促す。しかし、自分はずぶ濡れになって風邪をひいてしまう。ひと言もしゃべらず、疾風のように現れて、疾風のように去っていく。おじさんは何者なのか。なぜ助けてくれるのか。安田の怪演が笑えて痛快だ。
しもべえの正体は不明だが、安田顕も“変態キャラ”を自任するえたいの知れない俳優である。大泉洋、戸次重幸らの演劇ユニット「TEAM NACS」のメンバーで、「水曜どうでしょう」の準レギュラー。特技は牛乳早飲み逆噴射と泥酔全裸。悪人面で、ためらわず人を殺すような危険なにおいを放っている。かなり不気味なキャラだが、そんな安田が優しいおじさんを演じる落差がいま人気なのだ。