<144>野崎幸助さんの一周忌法要での早貴被告は顔が明らかに違っていた
「早貴ちゃん、過払い金の件でキミは訴えられるぞ」
私はタクシーの後部座席に腰かけていた彼女に話しかけ、Fさんの一件について問いただしたが、聞こえているにもかかわらず反応をしなかった。
法要後に向かったのは、車で5分ほど離れているドン・ファンのお墓だった。そこで寺の住職が読経し、早貴被告たちは墓の前で頭を垂れていた。
「キミが訴えられるんだぞ。いいのか?」
墓石の脇に立っている早貴被告に声を掛けても顔を背けた。(つづく)