「『どうして俺をメンバーに入れないんだ』って。弟子の白鳥さんがいるのに(笑)」
昇太は新作落語と古典の二刀流を使う。新作ではSWA(創作話芸アソシエーション)というグループのリーダーである。メンバーは三遊亭白鳥、柳家喬太郎、林家彦いち。いずれ劣らぬ実力派だ。
「僕が新作をやりたいと思ったのは、もちろん師匠が新作派の春風亭柳昇だったこともありますが、学生時代に三遊亭円丈師匠が主宰する<実験落語の会>を見たことが大きかったんです。その円丈師匠が昨年11月に亡くなった。これは大変ショックでした。円丈師匠がいなかったら、SWAのメンバー全員、新作をやってなかったでしょう」
円丈が若手を引っ張ったように、今では昇太が新作落語の旗手になっている。
「SWAを始めた時、円丈師匠がなんて言ったと思います? 『どうして俺をメンバーに入れないんだ』って言ったんですよ。弟子の白鳥さんがいるのに(笑)。我々と同じ土俵で戦いたがっていた。これって凄いことでしょ」
新作を演じる落語家は、同じ新作派に負けたくないのだ。
「ファイターが多いんです。円丈師匠なんか、自分より若手が受けると、本気で悔しがってました。いつもガチンコ勝負で。うちの師匠(柳昇)もファイターでしたね」