マルチタレントの先駆者・青島幸男 作詞、映画、小説、政界進出まで暴れ回った時代の寵児
世に出たきっかけは、フジテレビ「おとなの漫画」。毎日生放送で時事コントをやる番組である。
出演はハナ肇とクレージーキャッツ。青島は、メインのコント作家として有名に。そしてそのクレージーキャッツとの縁で参加したのが、テレビバラエティー史に残る日本テレビ「シャボン玉ホリデー」(61年開始)だった。
この番組で、青島幸男は自分も出演した。その際のお決まりのギャグが「青島だァ」。番組の裏方なのにエラそうにしている青島がそれをとがめられると、開き直ってこの言葉を陽気に言い放つ。このフレーズが流行して、一躍タレントとして脚光を浴びた。
その後の八面六臂の活躍は、凄まじかった。
まずは作詞。映画「ニッポン無責任時代」で主演の植木等が歌った「無責任一代男」の作詞などで一世を風靡した。「こつこつやる奴ァ ごくろうさん」と歌い上げ、「無責任」を称えるその詞は、高度経済成長のために我慢してあくせく働く世の風潮へのアンチテーゼだった。
また映画「鐘」では、製作、監督、脚本、主演をひとりで務め、カンヌ国際映画祭の国際批評家週間入選を果たした。また81年には、実家をモデルにした小説「人間万事塞翁が丙午」で直木賞を受賞。直木賞を取ると宣言して書き始め、実際に取るといういかにも青島らしい快挙だった。