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太田省一社会学者

1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本、お笑い、アイドルなど、メディアと社会・文化の関係をテーマに執筆活動を展開。「紅白歌合戦と日本人」(筑摩書房)、「芸人最強社会ニッポン」(朝日新書)、「21世紀 テレ東番組 ベスト100」(星海社新書)など著書多数。最新刊は「放送作家ほぼ全史」(星海社新書)。

マルチタレントの先駆者・青島幸男 作詞、映画、小説、政界進出まで暴れ回った時代の寵児

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(2)マルチタレントの先駆者・青島幸男

 野坂昭如、大橋巨泉、阿久悠、秋元康、鈴木おさむ、三谷幸喜、宮藤官九郎に至るまで、時代をつくった人たちは、その多くが「放送作家」出身だ。“テレビはオワコン”ともいわれる今、裏方だった彼らの活躍を知ることで見えてくる、もうひとつのメディア・エンタメ史。「放送作家ほぼ全史」(星海社新書)を上梓した社会学者・太田省一が、その謎をひもとく。

 ◇  ◇  ◇

 1960年代、テレビがお茶の間の主役になると、タレントとして活躍する放送作家が次々と登場する。「タレント放送作家」時代の到来である。

 永六輔、大橋巨泉、前田武彦ら、彼らはテレビにラジオにCMにと活躍したが、なかでもマルチな活躍という点で、青島幸男の右に出る存在はいないだろう。

 青島は1932年東京生まれ。実家は日本橋の仕出し弁当の店である。裕福な暮らしぶりだったようだが当人は病弱で、ずっと家で静養する日々だった。そのため一般の会社には就職せず、早稲田大学大学院に進学した。そんな折、ラジオの演芸番組を聴いて「これならオレにも書ける」と思い、自作の漫才台本を送ってみた。するとそれが認められ、放送作家への道を歩み始めることになる。

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