仲本工事さんの代名詞「体操コーナー」と“控えめ素顔”秘話…「全員集合」関係者が明かす
ゲストにもオチを丁寧に指導
「体操コーナー」は番組が始まった4年後の1973年からスタート。放送開始から番組に携わっていた放送作家の田村隆氏はこう振り返る。
「ある日、稽古場で興喜ちゃん(※田村氏は自分と同い年の仲本さんのことをこう呼んでいた)がバック転をしてみせてね。“おまえそんなことできるのか”となって、番組でゲストと一緒に体操をやることになった。前回りやトランポリンや跳び箱など、アイドルだから無理はさせられないんだけど、できなくても“ハイ、ポーズ”で拍手喝采。あのコーナーに台本はなくて、金曜日のリハーサルで興喜ちゃんが中心となってネタを決めていました。『ここででんぐり返しして前の壁にドーンとあたるとウケるからね』なんてゲストにも優しく教えていた。キャンディーズやピンク・レディー、80年代のアイドルもみんなやってくれました。松田聖子は最初はイヤがってたんだけど“明菜ちゃんもやったよ”と言うと“じゃあ私もやる!”ってなったりね(笑)。それでやってみてウケると、みんな楽しそうでした」
一方、普段の仲本さんは控えめで、思慮深くもの静かなタイプだった。
「頭がよくて紳士的な人でしたね。グループの中での役割というか、チョーさん、そして加藤や志村がいての俺だっていうのをわかっていたんじゃないかな。『全員集合』の毎週のネタ会議では、煮詰まって重~い空気が流れてるときも、チラチラッとチョーさんの方を見たりして、コソコソと“この前こんな映画を見たよ”なんて、僕に話しかけてきたりするんだ。いつも穏やかで、声を荒らげたりするのは一度も見たことがありませんね。今回、あまりに急な出来事に本当に残念でなりません。心よりお悔やみ申し上げます」
またひとり、希代のエンターテイナーがこの世を去ってしまった。