内場勝則は“師匠”のような存在「恥ずかしいねんけど、なんも思い浮かばへんねん」と相談したところ…
そんな、うっちゃんに本当の窮地を救ってもらったことがありました。プロット(筋書き)が全く思いつかず、明日セット発注をしないと間に合わないところまで追い詰められ「うっちゃん、恥ずかしいねんけど、なんも思い浮かばへんねん、なんかやりたい話ないかな?」とやむにやまれず相談をしたのです。「今頃何言うてんねん!?」でも「なんかあるやろ?」でもなく、慌てず騒がず、座長のうっちゃんはしばらく考えて「本多さん、芝居書きちゃうもんね、そういう時もあるんちゃいます? そうやなぁ……僕が夜勤で帰ってきたところへ、田舎からじいさんが出てきて、じゃまばっかりしていっこも寝かさへんいう話できませんかね?」という案をもらい、それまで出てこなかったアイデアが一気に流れ出し、すぐにマンションの一室をメインに廊下、管理人室などのセットを発注。同時に時間がないので相当量の内容も書きこんだ“プロット一稿”を書いてうっちゃんに見せると、「いけるんちゃいます?」と了解を得て、「眠れない男」という作品になりました。さらにこれは常に新作を上演する吉本新喜劇で唯一、NGK改装記念で再演された“記念すべき作品”になりました。