NHK夜ドラ「超人間要塞ヒロシ戦記」は今期ドラマ随一の“奇作”
原作は漫画だが、アニメならともかく実写化されるとは思わなかった。「超人間要塞ヒロシ戦記」(NHK)である。
機動戦士ガンダムは「有人操縦式の人型機動兵器」。そしてエヴァンゲリオンは「汎用人型決戦兵器」だ。どちらも人間が乗り込んで戦うことでは共通している。だが、この超人間要塞ヒロシの構造は全く異なる。
ヒロシ(豆原一成)の外見はごく普通の青年でしかない。しかし、その体内には6000万人の異星人が居住している。星を失った「スカべリア姫国」が丸ごと、「ヒロシ」という地球人の中で存続しているのだ。
ヒロシは普段、周囲に紛れて目立たぬように暮らしている。自身の秘密は絶対守らなければならないからだ。ところが、バイト先の社長令嬢・しずか(山之内すず)がヒロシを好きになったことで苦境に陥る。酒を飲まされてダウン。搬送先で医師たちに人間でないことがバレそうになる。
この人型機動要塞をコントロールするのが艦長のアケミ(高山一実、元乃木坂46)だ。大統領(吹越満)の命令に翻弄されたり、しずかの恋心に動揺したりしながら必死で操艦を続けている。
どこかノホホンとした言動が特徴のヒロシ。これがドラマ初主演となる高山の熱血艦長。両者のギャップと微妙にズレた感じが笑ってしまう。今期ドラマ随一の“奇作”と言っていい。