女優・有森也実さん 「一人芝居などで自分のやりたいものを表現し、代表作として残したい」
1991年に大ヒットした連続ドラマ「東京ラブストーリー」(フジテレビ系)でブレークした有森也実さん(55)。近年は更年期障害に悩まされたことを明かし、同世代の共感を呼んだが、やりたいことはたくさんある……。
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死ぬことへの恐怖感はあまりないんです。人は誰でもいつか死ぬ。だから、たとえ明日死んでも後悔しないように生きればいいだけだと思っています。事故も大病もなく幸せに生きてこられたおかげで、こう考えるのかもしれませんけどね。
理想としては最後まで日々の延長として生きられれば、とても幸せなんじゃないかな。命の長さは自分では決められませんからね。
日々の延長という意味では、できれば亡くなる直前まで演技をしていたい。それが女優としての自分の務めだと思うので、それを全うするのが夢ですね。
映画やドラマなど映像の仕事ももちろん続けたいですが、映像は作品を作りあげるまでに時間がかかるし、大勢の人が関わって成り立つもの。舞台も規模はいろいろですが、ミニマムな単位でできる一人芝居や朗読劇などなら「こんなことを表現したい」という私の思いを反映しやすい。究極はそんなふうに一人芝居などで自分がやりたいものを表現し、代表作として残したい。
何を表現したいかというと、人と人との触れ合い……かな。説明が難しいんですけど。例えば渡辺美佐子さんが28年間上演された「化粧 二幕」。息子を捨てた舞台女優とその息子の話ですが、悪いことって単純に悪とは言い切れない。悪いことをしたら悪人かというとそうではない。“悪”と決めるのは自分自身や世の中だったりします。だから、善悪の枠組みを取っ払った時、人はどんなことを感じるのかというようなことを表現したい。
今は価値観がどんどん変わってきている、面白い時代。AIを使えばたいていのことができるようになってしまって、人間が感じること、考えることが少なくなっていますよね。だからこそかえって、芯が固まってくる気がしているんです。女優としてはそこに希望を感じています。
でも、私は子供の頃から「何が何でも女優になりたい!」と切望していたわけじゃないんです。ファッションが好きで中学3年の時にティーン向けファッション誌に応募して、専属モデルになったのが芸能界に入るきっかけでした。「編集部をちょっと見てみたい」というくらいの軽い気持ちだったんです。
でも、当時の事務所の社長の勧めでドラマ、映画と出演するように。そうして始まった演じるお仕事が今に至るまで続いています。不思議といえば、不思議。私の知らないところでの計らいがあるのかな、前世からの因縁なのかなと思ったりするんです。
輪廻転生──生まれ変わりって私はあると思っています。自分の前世が植物だったのか、ネコだったのかわかりませんが(笑)、今の私に至るまではいくつものステージを経て今がある。今、女優をしているのも前世の影響かなと思っています。