(1)来年は落語協会創立100周年、記念行事の実行委員長としてイベント企画を思案中
林家三平(先代)の長男として生まれ、祖父の名跡を襲名した9代目林家正蔵。「こぶちゃん」と呼ばれたこぶ平時代のイメージを持つ方も多いが、現在は落語協会副会長の重責にあり、寄席にも精力的に出演している。スター落語家の息子であるが故の苦労、周囲の批判、芸に関する苦悩など、大いに語ってもらった。まずは、近々の仕事ぶりから。
「来年が落語協会の創立100周年でして。僕がその記念行事の実行委員長なので、数々のイベントの企画を考えている最中です」
落語協会は2014年に柳亭市馬が会長に就任。副会長に正蔵が指名された。その結果、理事会が若返った。
「若い理事が増えたことで、すごく風通しがいいです。来年のビッグイベントも皆で協力し合ってます」
目を輝かせて語る正蔵だが、現在に至るまでには、さまざまな苦労があったはずだ。
1962年に生まれた海老名泰孝(本名)は、どういう子供時代を過ごしたのか。
「子供のころから、家にはお弟子さんが居て、しょっちゅう業界の方やマスコミ関係のお客さまが来ているにぎやかな家でした。それが普通だと思ってたんですが、小学生の時に友達の家へ遊びに行って、食事をごちそうになったら、めいめいのお皿に料理がのって出てきた。それがとってもうらやましかった。なにせ、うちはいつも大人数で食事をしますから、大皿の料理を早く食べないとなくなっちゃう。生存競争に生き残るみたいなもんでした」