髭男爵ひぐち君がワインを猛勉強したきっかけ イベントで失笑を買い…現在は協会の名誉ソムリエ
髭男爵 ひぐち君(芸人/49歳)
「ルネッサンス~!」のギャグで人気を博した髭男爵のひぐち君はワインエキスパートの資格を取り、2020年に日本ソムリエ協会の名誉ソムリエに就任、ワインの仕事が増加中。資格取得の試験やオススメを聞いた。
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もともとはネタでワイングラスを持って乾杯するギャグを男爵さん(山田ルイ53世)が考え、それでボージョレ・ヌーボー解禁の日にイベントに呼んでいただけるようになったんですよ。
大抵はスーパーやショッピングモールで車でいらしてるお客さまも多いから乾杯だけして、ステージ上でワインを飲むことはなかったんですよ。
ある年、品川プリンスホテルでの格式高いイベントに呼ばれ、司会の方に「今年のボージョレのお味はいかがですか」と初めてコメントを求められたんです。「それっぽいこと言わなきゃ」と焦った僕が発した一言が「今年のは重たいですね」と。ボージョレはフレッシュ&フルーティーを楽しむ新酒なのに。そしたら、フランス大使館の方など来場者が変な空気になり、失笑が……。その時に「ワインの勉強をした方がいい」と考えました。実はそれまでワインを飲んだことがほぼなかった。
先輩のカンニング竹山さんたちに酒席に連れていってもらっても、一番後輩の僕が焼酎などの水割りを作るから、自分のはすごく薄めに作っていたんです。
ある夜、竹山さんと2人きりで飲んだ際に、まったくボトルのお酒が減らず、「おまえ、全然飲んでないじゃねーか」とバレました。
すごく飲めるようになったのはワインの勉強を始めてから。男爵さん一人の仕事が増え、僕が暇になっちゃって「本格的にワインを勉強しよう!」と決めてワインスクールの見学へ。そこの方から「うちの生徒さんはキャビンアテンダントの女性が多いんです」と言われて、即座に申し込みに名前書いてました。
実技の時間に僕がうっかりグラスを倒してワインがテーブルにこぼれたら、右からJAL、左からANAの方がサッとハンカチで拭いてくれた(笑)。国際線のCAさんが多かったようです。機内でワインを提供するのでしょうね。
スクールの方には「お笑いの仕事があるので毎週通えるかわかりません」と伝えておいたのに約1年の講義が終わってみたら、結果的には皆勤賞でした。
講義が始まった頃は生徒で僕だけワインの知識ゼロ。それでもタウンページほど厚い教本を暗記し、1次試験の学科に合格。2次試験はテイスティング。わかりやすく言うとワインを飲み、ブドウの品種と何年に収穫されたブドウで造られたか、どこの国で造られたかを当て香りや味わいをコメントで表現すること。素人の僕からしたらもう大変!
ワイン30本を家に常備し、朝に匂いを嗅ぎ、仕事から帰るとテイスティングする毎日。仕事で地方に行く際はソービニヨン・ブランという白ワインのフランス産とニュージーランド産を2つの小瓶に入れ、新幹線の中で嗅ぎながら移動したり。訓練して体に叩き込みましたよ。スクールとワイン代でお金はかかりましたね。グラスは30個も揃えて、奥さんからは「何やってんの?」と呆れられてました。