Mr.マリックさんが語る「人生の種明かし」 3つのターニングポイントを経て、マジックの新しい魅力を発信
「11PM」「木曜スペシャル」で大ブーム
次の転機はテレビ出演です。浅草ビューホテルでやっていた時です。噂を聞きつけた「11PM」(日本テレビ系)のプロデューサーが放送作家をつれてやってきまして。金曜の放送でやらないかと呼んでくれた。それで何回か「11PM」に出て、翌年の89年には「木曜スペシャル」(同)で番組を作ってもらった。
「11PM」ではマジシャンとはいわないで「超不思議現象を見せます」と言ってスプーン曲げをやりました。そんな謎のまま「木曜スペシャル」をやったのがよかったのかな。僕がやっているのは超能力かマジックかと話題になって、そんな謎が世の人々を引きつけたんだと思います。とにかくあの時の反響はすごかったですよ。
■ユリ・ゲラーが帰国、スプーン曲げを見たい人がいっぱいいた
時代的には超能力で人気になったユリ・ゲラーがアメリカに帰った後だったこと、次に出てきたのがインチキな超能力少年ばかりで、スプーン曲げを見たがっていた人が世の中にいっぱいいた時期だったことも、人気になった理由でしょうね。
僕にとっては最初の挫折から手品の実演販売をやり、ホテルのラウンジでクローズアップ・マジックを始め、テレビに出て人気になったという流れです。ホップ・ステップ・ジャンプでここまでやってこられたと思っています。
マジックの世界は当時とは変わりました。超能力かマジックかとヒステリックになっていたのが、マジックは種があって楽しむものと考える人が多くなった。どんな種なのかとそこばかり気にしていても、発展しなかったはずです。それだけ日本人に余裕ができたのかなと思います。
余談ですが、プロレスも同じです。八百長だから見に行かないという人がいたけど、八百長でもすごいじゃないかと余裕を持って楽しむ人が増えた。キング・オブ・スポーツがプロレスなら、キング・オブ・エンターテインメントがマジックだと思います。