「ルポ 軍事優先社会」吉田敏浩著
「ルポ 軍事優先社会」吉田敏浩著
2015年、安倍政権は違憲とされてきた集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊が米軍に付き従って戦争ができるよう法整備した。しかし、自衛隊はアメリカの対中国封じ込め・攻撃戦略の一環を担える軍事力を備えていなかった。
そこで、岸田政権では、集団的自衛権の行使に実効性を持たせるために「安保3文書」で敵基地・敵国攻撃能力の保有を決め、現在日本では、大軍拡と軍事費膨張、そして米日軍事一体化が着々と進んでいる。
沖縄・九州にはミサイル部隊を配備、弾薬庫やオスプレイの基地も造られ、中国をにらんで軍事要塞化が進む。自衛隊による自治体への名簿提供の要請など徴兵制につながりかねない動きもある。
本書は、各地で進む軍事優先の動きを取材、その動きにあらがい戦う人々の声に耳を傾ける警世の書。
(岩波書店 1056円)