「崖の上のポニョ」を一緒に歌った「藤岡藤巻」藤巻直哉が明かす…大橋のぞみちゃんは何を
藤巻直哉さん(大橋のぞみと「崖の上のポニョ」を歌った藤岡藤巻/70歳)
♪ポ~ニョポ~ニョポニョさかなの子……という、子どもらしい歌声がかわいかった「崖の上のポニョ」。2008年公開のスタジオジブリのアニメ映画の主題歌で、子役の大橋のぞみチャンと、2人組おじさんユニット「藤岡藤巻」の3人が担当していた。パペットを持って歌っていた藤巻直哉さん、今、どうしているのか。
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藤巻さんに会ったのは、東京は恵比寿。「崖の上のポニョ」を歌っていた頃は博報堂勤務の会社員だったが、今はエンタメビジネスの会社を立ち上げ、恵比寿に拠点をもっているとのこと。自転車にまたがってさっそうと現れ、まずはこう言った。
「お待たせしてすみません。出がけに長い電話がかかってきたもんだから」
藤巻さん、忙しそうだ。
「10年前に定年退職し、今はグループ会社全体のメディアコンテンツ部門を担う博報堂DYメディアパートナーズと業務委託契約を結びフェローを務めています。アドバイザリースタッフのようなもので、週1回は会社に顔を出しています。あとは、博報堂時代に映画プロデューサーとしてジブリ作品を手がけていたので、久石譲さんと久石さんの息子と3人で『ワンダーエンタテインメント』という会社を立ち上げ、映画やCM、ゲームの音楽制作のマネジメントをしています。久石さんは72歳、鈴木敏夫さんは74歳、宮崎駿さんは82歳とジブリの方たちはみな現役バリバリ。僕も刺激をもらっています」
その昔、「崖の上のポニョ」を歌うことになったのも、ジブリ作品を手がけていた縁だった。
「大橋のぞみチャンのデモテープを聴いた宮崎駿さんが、『お父さんの声も欲しい』というので、たまたまそばにいた僕が仮歌を入れたら、『これでいいか』ということになったんです」
もっとも、藤巻さんは音楽と無縁だったわけではない。当時、会社員をしながら、小中学校の同級生で、レコード会社勤務の藤岡孝章さんとコミックバンド「藤岡藤巻」を結成し、中年男の悲哀を歌っていたのだ。
「でも、『ポニョ』での活動はまったく別物でしたね。『ポニョ』を歌えたのは、幸運以外の何ものでもなかった。紅白や『ミュージックステーション』に出たり、なかなかできない経験ですから」
映画公開の08年末に紅白に出場後は、ほぼ活動を休止していた。
「藤岡君とは長く会っていなくて、6年前、後輩のバンドのライブにゲストで呼ばれ、久しぶりに一緒に歌ったのを機に活動を再開しました。彼はレコード会社を早期退職し、今は舞台音楽などを手がけていますよ。『藤岡藤巻』としての活動は年3回くらい、大森のライブハウス『風に吹かれて』などで歌い、3年前からは毎週月曜日、20時から1時間、YouTubeチャンネル『藤岡藤巻TV』で生配信もしています。仲がいい? そんなことないですよ(笑)。もう60年の付き合い。長年連れ添った夫婦みたいなものです。ただ、この年になってみると、音楽はいいな、と思いますね。音楽をベースにつながっている仲間がいて、飲んだりしゃべったりできるのは楽しいです」
■大橋のぞみの就職祝いをマネジャーと
大橋のぞみチャンは12年に学業優先を理由に引退。今はどうしているのだろうか。
「ときどき連絡をとっています。去年の春、大学を卒業し福祉の仕事についたので、のぞみチャンとお母さんと、当時のマネジャーと4人で就職祝いの場を持ちました。のぞみチャンは、当時のまま大人になったような感じ。背がスラリと伸びて、今もとてもかわいらしいですよ。望んでキツイ仕事に就くとは、頭が下がります。めちゃ真面目だから、今は家に寝に帰るだけのような仕事ぶりだそうです」
ステキな大人に成長した、のぞみチャンの歌声も聴いてみたいものだ。