笑い飯は漫才の歴史の中でもパイオニア 「ダブルボケ」で独自の世界観を造りあげた
「ようあんなアホなこと思いつくな?」と聞くと哲夫君が「師匠方の昔のネタを(ビデオで)見たら、ボケとツッコミて、ハッキリ分かれてはいない、自在に入れ替わるネタがけっこう多かったんで、これを徹底したらどんな漫才になんねやろと思ってつくってるんですけど、ホンマに探り探りです」とのこと。西田君も「お客さんがどこまでわかってくれてんのか、わからへんので“行ってまえ!”でやってますね」と苦笑。
「どんどんやって! 作家には、少なくとも俺は絶対よう書かんネタやから、行くとこまで行って!楽しみにしてるし!」ぐらいのほんの数分話した程度でしたが、笑いに対する探求心と遊び心が伝わってくる時間でした。
その後も楽屋や舞台袖で立ち話をするぐらいでゆっくり話す機会がありませんでしたがある日、若手の劇場の楽屋で哲夫君がフリップの裏側に竹ひごをテープで張り付けていたので、「なにつくってんのん?」と尋ねると「R-1の(予選で使う)フリップがしならんようにした方が(お客さんに)見やすいかなと思いましてね」「さすが職人! 気配りが違う!」「伝統工芸作家ちゃいますから!」と大笑い。律義で丁寧な哲夫君を物語るひとコマでした。
年齢を重ね、これからどんな予測不能なダブルボケの笑い飯ワールドを創作してくれるのか楽しみにしたいと思います。