ニッチェ江上敬子さん 肉がダメだった母親が知人から教わった「豚プロック肉の紅茶煮」
豚のいい香り、酸味の利いたタレ、シットリした食感
母親はとろ火で夜から朝までずっと煮ていました。母親は学校の先生をしていて仕事を持ち帰って、家でも働いていたから、台所につきっきりのメニューより煮物料理が得意でした。
火を止めて常温になるまで冷ましてから、用意しておいたタレ(しょうゆ、酒、みりん、酢)にしばらくつけます。そして食べやすくスライスして完成。
紅茶煮というくらいだから紅茶の香りが強そうと思われるけど、紅茶で煮て臭みを抜いたあとに調味料のタレにつけるので、紅茶の香りはあまりせず、豚のいい香りが残るんです。そこに酸味の利いたタレの味わいが足される。とろ火で煮るからパサパサせず、シットリした食感。
付け合わせの野菜はレタスでした。ちぎったレタスを大皿に敷き詰め、その上にスライスしたお肉をのせる。レタスに巻いて食べるのでシャキシャキ感が相まって大人数の時には重宝しますね。うちに来たら紅茶煮が出てくるとみなさん思っていたくらい。母親自身もお肉が食べられるようになってよかったんじゃないかな。
私が上京した後も島根に帰るたびに作ってくれて、スライスしたものを真空パックに詰めて持たせてくれます。うちの小さい子供たちも大好きで、細かくしたり、パンに挟んだりして重宝してます。でも、母親がいつも作ってくれるので、私は一度も作ったことがない。高タンパク質で低カロリーですし、家族のために作ってみようかな。
■ニンジンとピーマンのツナ炒めも子供に大好評
「ダンナやせごはん」の本を出したこともあり、男性のための簡単メニューもお話しさせていただきます。家族には野菜をたくさん食べてほしいから野菜中心で、母親から受け継いだ「ニンジンとピーマンのツナ炒め」。ニンジンとピーマンをきんぴらくらいの細さに切り、ごま油でササッと炒めます。シャキシャキ感は残るくらいにしんなりしてきたら、ツナを汁ごと入れる。ツナは高カロリーを避けるならノンオイルがいい。野菜がツナの汁を吸うように炒め、最後にみりんとしょうゆを回し入れ、少し炒めて終わり。
簡単ですし、これは話を聞く以上においしいですから! 見た目以上にもおいしい(笑)。野菜を食べなかった子供がこれはめちゃくちゃ食べます。ニンジンの甘みが出てくるし、ピーマンとの組み合わせもいいのかも。
それとツナは最強。お肉のようにコッテリしてないし、野菜に絡む。ツナ缶って自宅のどこかにずっとありそうですし(笑)。あと、ごま油は必ず使ってほしい。ツナとの相性もよく、香りも含めて満足感が1つ上がりますよね。
野菜中心のいろんなメニューでダンナは20キロ痩せて、今もキープしています。私は全然変わらなかったけど(笑)。
お肉料理でヘルシーなら、豚ブロック肉の紅茶煮がいいですね。今度、実家に帰る時には私の作った紅茶煮を母親に食べてもらおうかな。
(聞き手=松野大介)
▽江上敬子(えのうえ・けいこ) 1984年9月、島根県出身。2005年から近藤くみことお笑いコンビ「ニッチェ」として活動。「王様のブランチ」「ノンストップ!」などに出演中。
料理本「ニッチェ江上敬子のダンナやせごはん 胃ぶくろをつかむ、嫁ラクレシピ!」(KADOKAWA)も出版。