万代は芥の黒子として、この公演をはじめ、全公演の制作をした。
中島亡き後、万代を慕う俳優が事務所に参集し、現在の隆盛につながった。それも、芥と伴走し続けた万代の気骨と人望によるものだ。演劇界のみならず映画、テレビと幅広く活躍する俳優を輩出したのは、芸能界の色に染まらない独自の路線が実を結んだからだ。万代は所属俳優の公演には必ず足を運んだ。
9年前に「この人は将来、必ず花開くからね」と紹介してくれた秘蔵っ子の万里紗は、今月、劇団印象「女性映画監督第一号」に主演。俳優としてだけでなく演出家、翻訳家として幅広く活躍している。けだし、万代の慧眼というべきか。
合掌
=文中敬称略