穂積隆信「積木くずし」騒動 一部始終
穂積家の不幸はこれにとどまらなかった。由香里はこの後、85年8月に覚醒剤所持で逮捕されて初等少年院に4カ月間収監される。86年12月に女優としてデビューを果たすも、90年の7月と8月にまた覚醒剤所持で逮捕された。
一方、穂積の妻は娘を連れ、3億円以上あった印税収入や講演料を預けていた会計士を名乗る男とともに出奔する。穂積は無一文となったばかりか、妻が穂積名義で残した1000万円の借金が肩にのしかかる。その上、妻は親類から相続した伊豆の土地を1億2000万円で無断売却し、その分の所得税約3000万円も支払うハメに。ベストセラー作家から一転、膨大な負債を抱えた。穂積は警察に相談したが、「これほど見事にごっそりやられた事件は初めて」と驚かれた。穂積と妻は双方が弁護士を立てた泥沼の争いの末、87年に離婚する。そして01年、この妻が頚(けい)動脈を切り、自殺したことが報じられる。あれだけ莫大な財産を持って家を出たのに最後の暮らしは生活保護で預金通帳には2万円しか残っていなかったという。
その2年後の03年、穂積の元に戻ってきてヘルパーとして介護の仕事に取り組み始めていた由香里が心不全で35歳の若さで突然死する。この模様は実録モノとして制作され、昨年11月にも穂積が出演して「最終章」が放送された。名脇役のあまりにも波乱に満ちた人生。穂積は今も現役を続け、元妻の借金を返し続けているという。
◇1983年10月 3日、三宅島が大噴火する。9日、ビルマ・ラングーン(当時)で韓国・全斗煥大統領を狙った北朝鮮工作員による爆破テロ事件。韓国副首相ら21人が爆死。14日、東北大学付属病院で日本初の体外受精児が誕生する。