穂積隆信「積木くずし」騒動 一部始終
<1983年10月>
82年に穂積隆信(81)が娘の非行とそこからの更生をつづった「積木くずし 親と子の二百日戦争」は280万部といわれる大ベストセラーになり、83年2月から3月にかけて放送された高部知子主演のテレビドラマも最高視聴率45.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という民放ドラマ最高記録を残した。だが、穂積家にはこの後さまざまな試練が襲いかかる。
10月18日、新宿で警ら中の私服警官は歌舞伎町をうろついているひとりの少女を補導する。少女の荷物からはトルエンが発見される。彼女は「トルエンを買ってボーイフレンドの家に行くつもりだった」とトルエン遊び目的であることを認め、毒物及び劇物取締法違反の容疑で逮捕された。この少女こそベストセラー「積木くずし」の主人公・穂積由香里(当時15)だった。「トルエンを吸うことは悪いことだとわかっていますが、両親が講演などで留守がちだったから、自分は好きなことをした」と取り調べで語った。
結局、由香里は3カ月間の少年鑑別所入りとなった。「積木くずし」では暴走族グループに加わり、シンナーにおぼれる娘がラストではシンナーをやめると誓い、立ち直るさまが感動的に描かれていたので、このニュースに世間は驚いた。父の穂積隆信も捨て身で娘の非行と立ち向かった美談の主として教育評論家のように講演をこなす毎日であったが、一転してバッシングが始まる。