裸の遺影から7年 兎丸愛美はなぜ「ヌードモデル」を名乗る
「裸でカメラの前に立つことですべてを解放できる、自然体でいられる気がするんです。でも、服を着てカメラの前に立っても心が丸裸でいられるのなら、それは私らしいヌードモデルの仕事だと思っています」
3月1日公開の主演映画「シスターフッド」(西原孝至監督)は、ドキュメンタリーとフィクションのパートを織り交ぜた意欲作だ。フェミニズムをテーマにモノクロで描き、独特の世界観を際立たせている。カメラを前にして兎丸は本人役で台本にはない“素の言葉”も問いかける。
「私自身はフェミニストではないのですが、女性はこれをしてはいけない、女性だからこうしなさい、といった既成概念に対する反発心みたいなものはあります。監督は4年前、今以上に無名だった私にオファーをしてくれた。私が感じている生きづらさや葛藤が見えていたのかもしれません」
ヌードモデルに演技、自分で撮影もする。仕事の幅は広がっているが、「家族には、まだ認められていないような気がしているんです。大好きな家族なのに、その一員になりきれていない。引け目を感じなくなって初めて、ヌードモデルって堂々と言えるのかな。今はまだ難しいんですけど……」。
高い評価を受けて満たされているように見えても「リア充」という言葉ではくくれない。誰もが心の中にコンプレックスを抱えている。自分にも他人にも偽りなく正直に生きることは本当に難しい。
(取材・文=小川泰加/日刊ゲンダイ)