堀江しのぶ初仕事は平凡パンチ 水着で売る意識はなかった
「(黒沢)監督はロケのとき、あの電柱が邪魔だ、あの家が邪魔だとか助監督に言って、どかしてしまうっていう噂がありますけど、それって本当なんですか?」
記者も映画評論家もけっして尋ねたことのない禁断の質問を野田義治が切り出した。
野田砲の炸裂だ。
部屋の空気が凍り付いた。
すると世界のクロサワが口を開いた。
「“あの家が邪魔だからどかせ”とかそんな言い方はしてないんだよ。ぼそっと“邪魔だよね”って言ったかもしれないけど」
野田が証言する。
「スタッフが気を使って、先回りして電柱や家をどかしたんじゃないかと思うんですよね。黒沢監督は“あの家が邪魔だからどかせ”なんてそんな強気なこと言う人じゃないですよ。周りが忖度したんですよ」
黒沢明の自宅には、あのコッポラやスピルバーグが訪れた。偉大な両監督には通訳がつき、野田義治がエンターテインメントの世界で仕事をしているのを知ると、「英語がしゃべれないとは何事だ」と叱咤した。現在、野田は身ぶり手ぶりでなんとか仕事をこなす程度の英会話は身につけたのだが。