著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

秋野暢子さんがブログで吐露…抗がん剤後遺症の痺れ対策に生活の工夫を

公開日: 更新日:

「相変わらず足が痺(しび)れてます」

 食道がんで闘病中の女優・秋野暢子さん(66)は今月6日、こんな書き出しで自らのブログに近況を報告しました。読者の方が驚くのは、次の記述でしょう。

「今日、運動をご一緒した方が10年ほど前に乳がんになられて、やっぱり抗がん剤の後遺症で手足が痺れていたそうです。『手の痺れはわりと早くなくなったけど、足は10年かかったわ』とおっしゃった」

 がんの治療で抗がん剤を使うと、投与後に手足の先の痺れなどが生じることがあるのです。秋野さんが患った食道がんに用いられるシスプラチンでは、手足の先の痺れのほか痛み、耳の聞こえにくさ(高音域)が表れることもあります。

 知覚神経の通り道で、神経細胞が集まる後根神経節に、薬剤が蓄積されるため、神経細胞が直接ダメージを受け、さらに情報伝達の役目をする突起部分である軸索も2次的に障害されるため、感覚障害が起こりやすいとされます。

 シスプラチンの場合、治療後早ければ1~7日で発症。総投与量が500~600㎎/平方メートルを超えると、70%以上に出現するといわれます。総投与量が増えると、手足の痺れに加え、痛みを伴ったり、症状が全身に広がったりすることがあって厄介です。

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