15歳シニア猫の肩に骨肉腫の疑い セカンドオピニオンで否定した根拠
一方、飼い主さんは「4、5年前に2階から落下して大ケガをしましたが、幸い自然に治ったんですよ」ともおっしゃいました。それで、ひとつの仮説が浮かんだのです。そのときに骨にヒビなどが入り、骨折が修復される過程で骨になる細胞が集まり、患部が増殖したのではないかと。
仮説を後押しする材料がほかにもありました。関節表面の軟骨の形成を促進する薬を使用しているようでした。それが事実なら、患部の骨の増殖が起こるかもしれないという考えです。
こうしたことに加え、15歳というシニアの年齢も併せて総合的に判断した結果、次のようにお伝えしました。
「いますぐには断脚せずに、普通の生活を続けながら1カ月ごとに受診するのもよいと思います。それで関節の痛みや頭痛など、より骨肉腫を強く疑わせる症状が見られたら、治療するという考え方です」
断脚した後は当然、3本脚での生活になります。シニアでその負担は重い。できることなら、余生を痛みなく、普通に生活させてあげたいと思いましたし、総合判断した結果は「その可能性は十分ある」ということでの結論です。
このケースでは、全身麻酔を伴う先進的な治療を避けることになりましたが、もちろん、ケースによっては、そういう治療を行うこともあります。
(カーター動物病院・片岡重明院長)