“わが子”が他人を噛んだ ワクチン接種済み飼い主が背負う代償は?
これを受けて獣医師は狂犬病ワクチンの接種履歴を確認します。かかりつけでの接種なら、カルテで把握できますが、ワクチン接種はかかりつけ医と別で集合注射なら、注射済み票の控えを保健所に提出します。
そして獣医師の発症確認は抗体検査ではなく、犬の症状で行います。2回の検診で異常な症状がなければ、検診結果に基づいて「検診証明書」が飼い主に発行され、これが検診を受けたこと、狂犬病を発症していないことの証明書になるのです。毎年ワクチン接種していれば、ここで検診は終わります。
未接種の犬は、2回目から1週間後に3回目の検診です。もし噛んだときが狂犬病の罹患とすると、ウイルスの潜伏期間は約2週間。3回の検診を2週間ほどの間隔を設けて行うのは、とにかく狂犬病対策です。未接種犬の3回については検診する獣医師の監督下で入院で行われます。通院で済む接種犬との大きな違いです。
狂犬病が広がる国ではこのような検診スタイルではなく唾液や分泌物からウイルスを分離同定する方法で、見つかれば殺処分です。症状のチェックでは、鑑定する獣医師やスタッフが犠牲になるリスクが高いですから。