小林製薬の「紅麹」はなぜ健康被害を招いたのか…「科学的根拠としては十分と判断」していたはずなのに
「食経験の評価 当該製品と製品名のみ異なる同一処方の製品を2018年から20万食以上販売しているが、本製品が原因と示唆される重篤な健康被害は報告されていない。また、当該製品と類似する製品の食経験として、小林製薬株式会社製の米紅麹原料の販売実績から考察を行った」
「米紅麹原料は2007年よりサプリメントの原料として販売を開始し、これまでに約17.5トンを国内外に流通させてきた(2020年6月現在)。また、この米紅麹原料の1日あたりの推奨量を100mg(米紅麹ポリケチドとして2mg)として販売してきたことから、これまでに販売してきた約17.5トンの米紅麹原料は約1.75億食分に相当すると考えられる。これまでに米紅麹原料を含有したサプリメント等において健康被害は報告されていない」
つまり同社は、2007年から米麹を原料としたサプリを少なくとも17.5トンを販売し、健康被害はなかったというのだ。それがなぜ、今になって健康被害が続出したのか。
そして安全性については、「最終製品ではなく、機能性関与成分に関する研究レビューで、機能性を評価している」とあり、「データベースより収集した文献は69報あり、スクリーニングにより最終的に1報の採択となった。この文献では、米紅麹ポリケチド摂取群は、プラセボ摂取群と比べてLDL(悪玉)コレステロール値が有意に低下した。この時の米紅麹ポリケチドの量は1日あたり2mg、または4mgである。また米紅麹ポリケチド摂取群に体調不良などの副作用は生じなかった。このことから、健常者が米紅麹ポリケチドを1日当たり2mg~4mgを適切に摂取することで、高めのLDL(悪玉)コレステロール値が低下することが示唆された」