小林製薬の「紅麹」はなぜ健康被害を招いたのか…「科学的根拠としては十分と判断」していたはずなのに
「令和の薬害事件」になるのか──。
製薬、食品業界から、こんな声が漏れ始めた。小林製薬(大阪市)の紅麹を含んだ「機能性表示食品」による健康被害が相次いでいる問題。これまでの調査によると、同社は紅麹を作る過程でできることがある「シトリニン」という毒素を疑ったものの、「シトリニン」は検出されず、紅麹原料の中の「未知の成分」が腎疾患の原因となった可能性が否定できないという。
死者や入院患者が出ているにも関わらず、未だに原因物質の特定に至っていないのだから状況は深刻だろう。原因が分からなければ、入院患者らの治療方法も見つからないからだ。
それにしても、大手ともいえる小林製薬がなぜ、「紅麹」を安全と判断したのだろうか。
■安全性、機能性を評価するために採択した文献は1件
「機能性表示食品」は、安全性や機能性などの根拠となる研究論文や臨床試験を消費者庁に届けることで商品の販売が可能だ。同庁が公開している「機能性表示食品」の「科学的根拠等に関する基本情報」(一般消費者向け)を確認すると、小林製薬が届け出た「機能性関与成分名 米紅麹ポリケチド」は「安全性の評価方法」として「喫食実績の評価により、十分な安全性を確認している」とあり、こう書いている。