(52)冷蔵室を丸ごとチルド化しちゃった! 日立の冷蔵庫に見る驚きの技術力
「チルド」という言葉をご存じでしょうか? 「冷却した」という意味で、日本産業規格(JIS)では、約0度と定められています。多くの人は0度は水が凍る温度と認識しているでしょう。確かに水だけなら凍り始めますが、食材に含まれる水分には、いろいろなモノが混じっています。そのため実際の凝固点はもっと低く、マイナス3度で「パーシャル」(一部が凍る)という凍る寸前の状態になります。
この0度近辺からマイナス2度から3度は食材保存に大きな影響を与えます。温度が高ければ食材は早く傷む。凍れば食材の水分が膨張して、動物なら細胞膜、植物なら細胞壁を破ります。肉や魚はドリップ(肉汁)が出るし、野菜だとシャキシャキ感がなくなります。正確な温度維持は、とても重要な技術なのです。
冷蔵庫でチルド技術が使われているのは当然、チルド室。冷蔵室最下部の隔離部屋です。一般的に冷蔵庫の冷蔵室は4度から8度ほどです。
ちなみに冷蔵室内は温度ムラがかなりあります。特にドアポケット部分は開けるたびに冷気が逃げます。ここに缶ビールを置いてはいけません。日本のビールは4度程度がおいしいので缶ビールはできる限り庫内の奥に置くのが鉄則です。