社内環境の改善ツールと注目の「サンクスカード」って何? 導入2社に活性化事例を聞いた
コインを送る量=コミュニケーション量の指標
焼き肉など飲食店を展開するフレスカ(本社・岡山県)やアート引越センター(以下=アート、本社・大阪府)、新日本科学(本社・鹿児島県)は、同様のサービスのひとつ「サンクスギフト」を導入した。従業員はそれぞれのスマホにこのアプリをダウンロードし、気軽に写真やメッセージを投稿することで、社内の交流を図っている。
特徴は「ありがとうコイン」「努力コイン」など感謝の気持ちを示して称賛コインをプレゼントする機能が複数ある点。コインは就業の前と後などに送り、その獲得数はランキングで表示可能。フレスカではコイン獲得数上位者を表彰したり、社員評価の指標に店舗でのコインの活用を置くなどしている。コインを送る量は、コミュニケーションの量を表す指標でもある。
サンクスギフトを運営する「TakeAction」の成田靖也社長は学生時代に焼き肉チェーンの牛角でアルバイト。そこではサンクスカードが交換され、とても働きやすい職場環境だった。社内ムードがよかったことも要因なのだろう。牛角はフランチャイズとしては世界最速で1000店舗を達成した。そんな好ムードのアルバイト先から成田氏が就職したのは、ブラック企業だったという。
「企業の外付け人事部として採用コンサルタントをしていました。人材紹介会社としては、従業員が離職してくれた方が、採用機会が増加し、ビジネスになります。しかし、そこに後ろめたさを感じていました」(成田氏)
社員の離職は企業にとって損失だ。成田氏が続ける。
「一概には言えませんが、新卒の場合、一般に3年以内に退社すると、企業は採用費と教育費を合わせて1000万円がムダになるといわれています」
成田氏はブラック企業を退職。牛角時代のサンクスカードを思い出し、ビジネスにしようと起業した。今では医療や飲食など主にサービス業を中心に累計で約850社に導入され、それぞれの従業員を定着させるサービスを提供している。