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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(36)タクシーを喫煙所代わりにしたお客がいた 愛煙家の気持ちもわかりますが…

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 第一「しかしですね」「そうおっしゃいますが」とお客に論争を挑んでお客を論破したところで、誰も褒めてはくれないし、一銭にもならない。そればかりか、お互いに不愉快になるだけだ。一期一会の関係なら、「たいこ持ち」に徹するにかぎるのだ。

 だが、お客の無理難題には「仰せの通り」ではすまないことがある。その代表がお客の喫煙だ。2020年から、改正健康増進法の施行で、タクシー車内は全面禁煙となった。

 同法の施行以前の話だが、ある夜、酔客4人が乗ってきた。途中、お客のひとりがたばこをくわえてライターを手にした。私はやんわりと注意した。「お客さま、車内でのおたばこはご遠慮ください」。すると有名お笑い芸人の決まり文句「そんなの関係ねえ」といいながら火をつけようとする。さすがに「仰せの通り」とはいえない。厄介なことになりそうだと感じたそのとき、救いの手が伸びてきた。

 お客のひとりが「○○さん、運転手さんも困っているんだから我慢しなよ。すぐ着くんだから」と“関係ねえ男”をたしなめてくれたのだ。もし吸い出したら「次のお客さまのご迷惑になりますので、料金は結構ですのでお降りください」と本気でいうつもりだった。その当時は、車内禁煙はあくまで「お願い」だったので私の行為は「下車強要」となり、違反として処罰の対象となる可能性もあった。

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