10月に誕生した「東京科学大」と統合に挫折した「静岡大学」と「浜松医科大学」の明と暗
こうした近未来の大学の教育研究を占うキーワードの1つは、医工連携であろう。この「工」には理学系やデータサイエンスを含めるべきだ。
医療の分野は手術ロボットのように機器の活用が急速に広がり、それに伴なってデジタル化が進み、データサイエンスのノウハウなしには治療を進められない状況になっている。
大学の医歯系学部でも、医歯科分野におけるデジタル化を進め、そのデータを活用した分析による予防医学も望まれる。今回のコロナ問題で、その重要性は広く再認識されたようだ。
たとえば、横浜市立大学医学部教授であった山中竹春横浜市長は早稲田大学理工学部数学科卒業のデータサイエンス専門家だった。他の大学医学部の教員にもデータサイエンストが増えている。
日本の大学で初めてデータサイエンス学部を新設した滋賀大学には医学部はないが、県内の滋賀医科大学の統合が当面の課題になっている。
■静岡大学と浜松医科大学の統合はなぜ挫折?
この医工連携を目標に大学の統合を狙った動きは、静岡大学と浜松医科大学の統合問題でも見られた。大学の統合は、東京科学大学のように法人・大学ともに統合して「一法人一大学」となるケースと一法人が複数の大学を運営する形で統合する「アンブレラ方式」とがある。