10月に誕生した「東京科学大」と統合に挫折した「静岡大学」と「浜松医科大学」の明と暗
静岡大学は、このアンブレラ方式で浜松医科大学との統合・再編を目指した。旧浜松高等工業学校にルーツのある工学部と浜松キャンパスの情報学部が浜松医科大学と統合した浜松グループの大学、旧制静岡高校にルーツを持つ静岡キャンパスとが別に大学として独立し、一法人にこの二大学に属するアンブレラ方式である。
ところが、公表後に就任した静岡大学の学長は、アンブレラ方式でなく、一つの大学に二つの分校を置く「一大学二校」案を提唱した。前情報学部長の副学長は、アンブレラ方式の支持者だ。来年度からの静岡大学学長の選挙がこの秋に実施され、現学長が当選したので、当面アンブレラ方式による統合は難しいようだ。浜松医科大学は「医学部におけるデータサイエンス人材育成」を研究テーマに掲げているが、独自な取り組みとなる。
既存の国立総合大学などで医学部と理工系学部が医学連携に真剣に取り組み進展しているか、と言えば、そうとは限らない。学長選などで、教員数の多い医学部と理工系学部が対立してきた歴史のある大学も少なくないからだ。その点で統合や新学部創設などの組織再編などがあれば医学連携が活発化する可能性が高い。データサイエンスも含めた医工連携は、大学の文理融合の教育研究分野で起爆剤なるであろう。