「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性
療養費制度の年間利用者795万人のうち155万人が多数回に該当する。厚労省の修正案は、多数回に当てはまらない約640万人を置き去りにし、患者同士の不平等感をあおりかねない。
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場当たり的な対応のひどさに加え、新たな火種もくすぶる。
政府が療養費制度の負担上限を引き上げる一方、国家公務員の負担上限は「据え置き」の可能性があるのだ。どういうことか。
20ある国家公務員共済組合のうち、18組合では「付加給付」と呼ばれる仕組みがある。病気やケガで高額の医療負担が生じた場合、収入に応じて月の負担上限額は5万円もしくは2万5000円に設定されている。例えば、ひと月の医療費が3万円なら、負担上限の2万5000円が控除されて5000円が還付される制度だ。
一方、国内最大の保険者「協会けんぽ」には現状、付加給付がない。年収770万~1160万円なら負担上限額は月16万7400円。年収370万~770万円は同8万100円、年収370万円未満は同5万7600円だ。付加給付の恩恵で窓口負担が抑えられる国家公務員共済と比べ、すでにかなり格差がある。