就職氷河期世代を襲う「年金3割減」の恐怖…政府放置で「楽しい日本」は「絶望の日本」まっしぐら
政府は手をこまねいている場合か。今国会は、年金制度改革が焦点のひとつ。厚労省は基礎年金(国民年金)の底上げ案について、実施判断を4年後の2029年以降に先送り。夏の参院選を控え、底上げには自民党内でも慎重論は根強いが、就職氷河期世代には死活問題だ。
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年金の受給額には現状、現役世代の賃金や物価の伸びより抑制する「マクロ経済スライド」が導入されている。基礎年金も厚生年金も給付水準が抑えられている状態だ。
この給付抑制策は、厚生年金では26年度に終了が想定される一方、財政収支の厳しい基礎年金では57年度(!)まで続く見通し。そこで厚労省がひねり出したのは、厚生年金と国費を投じて基礎年金の抑制期間を短縮する「底上げ案」だ。
ところが、「底上げ」は厚生年金の給付水準の一時減や、年1兆~2兆円に膨らむ国費負担の安定財源の確保など、課題山積。結局、先送りになったが、目減りが予想される年金の制度改革は待ったなし。いわゆる「就職氷河期世代」への影響が極めて大きい。
先月31日の衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭議員が氷河期世代の賃金の低さを問題視。昨年までの5年間で名目賃金の伸び率は、どの年代と比べても低く、とりわけ深刻なのが50~54歳と指摘した。実に1.4%減と唯一のマイナスだった。長妻氏は「老後の年金が低く、生活保護になだれ込むのでは」と懸念をあらわにした。
氷河期世代が年金を受給するころには「実質価値3割減」の追い打ちも重なる。基礎年金は「ゼロ成長」が続くと30年後に今より3割ほど目減りする。長妻氏が「(底上げ案を)先送りしたが、3割目減りする対策はどうするのか」と問いただすと、福岡資麿厚労相は「まずは政府としては賃上げ、投資が牽引する成長型経済への移行を確実にする」「経済動向を見ながら(底上げ案の)発動の是非を検討していく」との答弁に終始した。