高額療養費の制度改悪「自己負担上限引き上げ」に待った! がん患者から相次ぐ悲痛な叫び
「治療の断念、生活が成り立たなくなる可能性が危惧される」──。政府が今年8月から負担上限を引き上げる「高額療養費制度」の見直しをめぐり、21日、国会内で開かれた立憲民主党のヒアリングに全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野慎介理事長が出席。政府に制度見直しの再考を訴えた。
高額療養費制度は、医療機関や薬局での窓口負担が一定額を超えた場合に払い戻しを受けられる仕組み。政府は年収区分に応じて負担上限額を2.7~15%段階的に引き上げる。最終的に2027年8月には、例えば年収約700万円なら、上限額が現行の8万100円から13万8600円へと跳ね上がる。実に5万8500円もの負担増だ。
厚労省は上限引き上げについて「保険加入者1人あたり年1100~5000円の保険料が軽減される」と意義を説明するが、かなり眉唾モノだ。
そもそも、高額療養費制度の見直しは「子育て支援金制度」の創設にかかる財源捻出のため。支援金制度によって増えた保険料負担が高額療養費制度の見直しによって相殺されるだけで「軽減効果」はない。むしろ、がんや白血病など重篤な疾患を抱える患者たちが負担増を強いられる改悪に他ならない。
こうした問題こそが、21日のヒアリングのテーマだった。天野理事長は全がん連が今月17~19日に実施した「上限額引き上げ反対に関する緊急オンライン調査」を紹介。3日間でがん患者や家族、医師など3623人もの声が寄せられたという。厚労省の担当者に手渡した報告書は厚さ3センチを超えた。
誰もが大病する可能性があり、ゆえに高額療養費制度は全世代にとって重要なセーフティーネットだ。アンケートには、高齢者だけでなく若年の現役世代のがん患者が抱える悲痛な思いが並ぶ。