高額な医療費が無駄になる! 「ネコ風邪」を症状だけで決めつける獣医師にご用心
暖かくなったり、寒くなったりで、ヒトでも風邪やインフルエンザがはやっています。ネコちゃんもしかりですが、鼻水やくしゃみ、発熱、食欲低下など風邪を疑う症状があったとしても、ネコ風邪とは限りません。そのような“誤診”が珍しくないので紹介しましょう。
■食欲不振の原因は…
先日、連れて来られた若いネコちゃんは、食欲不振でした。診察すると小腸には硬い便が停滞していて、それによってガスも貯留していました。初期治療としての選択はお腹のぜん動をよくするもので、念のためバリウムを投与して異物の停滞も確認することに。それでも停滞が続くなら、点滴や開腹手術も視野に入ることを伝えた上で自宅で様子を見てもらいました。
2日後の休診日まで連絡がなく、よくなったと思っていたのですが、休診日に別の病院を受診。そこで受けた診断が、“ネコ風邪”でした。当院の診断や治療方針は無視し、鼻水と涙目などの症状から診断したのでしょう。それを裏づける材料として、X線検査や血液検査、ウイルス検査などのフルコースを施し、抗生物質や飲み薬などを1週間分以上処方されています。