首位Jフロントの百貨店売上は6割 近づく不動産業への転換
百貨店業界の勢力図に最近、大きな動きが出ている。売上高トップが入れ替わったのだ。盟主・三越伊勢丹ホールディングス(HD)に代わって、その座に就いたのは大丸松坂屋百貨店を擁するJ・フロントリテイリング(以下=Jフロント)。19年度売上高で、三越伊勢丹HDの1兆1191億円を抜き、1兆1336億円を計上。わずかながらJフロントが上回った。
「三越伊勢丹HDが3月決算、Jフロントが2月決算なので、新型コロナウイルスの影響の度合いを考えれば、手放しで喜ぶような状況にはないが、トップに立ったのは歓迎すべきこと。数年前まではあちらが圧倒的な強さを誇っていたのですから」
声を弾ませるのは大丸松坂屋の中堅社員。だが、同じ大丸松坂屋でもベテラン社員の見方は違う。
「今や、Jフロントの百貨店事業の売上は全売上の63%しかない。“脱百貨店”をうたったのは初代社長の奥田務さんですが、その流れはますます加速している。近い将来、百貨店ではなく、不動産業に分類されることになるのではないか」
このベテラン社員の言葉はどこか怒気を含んでいる。その理由は、彼が松坂屋出身だからだ。