サンコー 角谷太基社長(1)買う人・つくる人・売る人が幸せになる「三幸精神」
家庭用品の一大生産地として有名な和歌山県海南市。その海南市に本社を置き、地場産業の生活用品の開発・製造・販売の事業を展開し、家庭用品業界を牽引しているのが株式会社サンコーだ。そのサンコーを支えるのが、2代目の角谷太基氏である。
「私の父親である先代の角谷勝司が、この地で創業しました。先代の父、私の祖父が、職業軍人だったものですから、先代が8歳の頃まで広島の呉にいました。しかし、祖父が戦死し、祖父母の生まれ故郷である和歌山・海南に戻ってきました。当時父は8歳、そして一番下の妹は生まれたばかりでしたので、祖母が内職をする傍ら父が牛乳配達や新聞配達をして、家庭を支えていました。父を入れて、4人きょうだいでしたので、祖母は大変苦労したようです。先代は高校に進学したかったようですが、祖母の苦労を見ていたので、祖母を楽にさせたい一心で、15歳の時、商売をやっていた叔父のところで働くことになりました」
海南市は大昔から、棕櫚の生産地として知られており、棕櫚を材料に縄やタワシを製造していたことで、家庭用品の一大生産地へと成長。しかし、明治時代に国産の棕櫚の原料不足が深刻化し、東南アジア諸国から安価なヤシの実の繊維が輸入され、その後、戦後からは、化学繊維が台頭し、棕櫚加工に取って代わった歴史がある。