イルキャンティ 笹間章CEO(1)笹塚の「イタリア式食堂」が半世紀を経て一大グループに
「イタリア式食堂キャンティ」をご存じだろうか。ニンニクの効いた後を引くドレッシングや、ついついシメに食べたくなる「真夜中のスパゲティ」で知られる名店である。1972年、東京・笹塚に開いたわずか14坪の店を全国に50店以上展開するグループへと一代で育てたのが、イルキャンティCEOの笹間章氏だ。波瀾万丈の道程を、生まれから振り返ってみよう。
笹間氏は1951年、東京・六本木で生まれた。祖父は神田、父は新宿でタイプライターの輸入販売業を営む裕福な家庭だったという。
「祖父の家に遊びに行くと、よく鉄道模型店に連れて行ってもらえた。当時は高価だった鉄道模型も、ねだるとすぐ買ってもらえたものでした」と、笹間氏。
祖父は商売上手だったが、父親はいまひとつ才覚に恵まれなかったようだ。小学校2、3年の頃から父親の事業は傾き始める。
「子どもの頃、度々引っ越ししたのは、そのせいだったのだと思います」
また、突然箱根に数日間旅行に行くことが何度かあったという。この時も宿は毎日移動したという。