生成AIの未来予想図 株価4万円へと牽引した半導体相場の起爆剤は今後どうなる?
日米の株式市場は、半導体銘柄が引っ張っている。この勢いはいつまで続くのか。株価4万円に向かう起爆剤となった生成AI(人工知能)とともに、今後の方向性を占おう。
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時価総額2兆ドル(約300兆円)を超えて世界3位となった米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)。同社の半導体チップであるAI用GPU(画像処理演算プロセッサー)は世界シェア9割超と、事実上、独占的な存在だ。
エヌビディアのGPUは、半導体受託製造ビジネスで世界最大の台湾積体電路製造(TSMC)で製造されている。そのエヌビディアやTSMCに半導体検査装置を提供しているとされるのが、東京エレクトロンやアドバンテスト、レーザーテック、東京精密などの日本企業。急成長するエヌビディアに連れて、これら半導体銘柄が日本の株式相場を押し上げているのだ。
そもそも画像処理用半導体であるGPUは、主にゲームや、AIの画像の読み込みやディープラーニング(機械学習)で使われていた。パソコン全体を制御するCPUとは異なり、これまではニッチな存在だった。
しかし、2022年11月公開のChatGPT(チャットGPT)をはじめ相次ぐ生成AIの登場で生成AIブームが急拡大。GPU需要もグンと盛り上がった。
ユーザーは生成AIを利用する際、大規模データセンターにあるAIサーバーにアクセス。そこにAI用GPUが使われている。ユーザーが増えるほど、より高性能なGPUが必要で、エヌビディアへの需要が一気に高まったのだ。
■エヌビディアのGPUは1年待ち
いまではエヌビディア製チップの供給が逼迫。同社の売り上げも急増し、株価も高騰。米国S&P500種株価指数の最高値更新にも貢献した。
では、これから生成AIはどうなるのか。日本企業との関係は? 生成AIに詳しい茶圓将裕・デジライズ代表に詳しく聞いた。
「現在、エヌビディアにGPUを発注しても1年待ちといわれます。しかし、同社製品を使って本格的なAIサービスを行っているのは基本的にはGAFAMなどのビッグテックですから、日本企業の大半に大きな影響はないでしょう。日本の場合、GPUを使わないAIのアプリケーションレイヤーのサービス企業が多く見られます」
生成AIの産業分野は①ハード(GPU)②モデル(GPT-4、Gemini1.0などの大規模言語モデル)③アプリ(生成AIの利用)、の3つに分類。日本では、①に携わる検査装置企業などもあるが、③に属する企業が中心だ。
生成AIで日本企業はいまのところ傍流でも、中心に食い込む余地はあるという。
「今後は、GPUを大量に組み込まなくても精度が高いAIモデルが開発されるはずです。そうすると、日本企業を巡る環境は劇的に良くなる可能性があります」
米国ではCPUでシノギを削るAMDとインテルだけでなく、エヌビディアユーザーであるアマゾンやグーグルも独自のAI用GPUの開発を急ピッチで進めている。エヌビディアの独り勝ち状態は、長くは続かないかもしれない。