製薬企業リストラ相次ぎ、次の焦点に…小野薬品「オプジーボ」特許切れで生じる衝撃波
背景にあるのは、いずれも主力薬の特許切れに伴う収益悪化や新薬開発の頓挫だ。武田は柱のひとつの注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセ」の米国での特許が昨年8月に失効。田辺三菱は今年6月、パーキンソン病治療薬の同国での承認申請に対し、米食品医薬品局(FDA)が「見送り」の判定を下した。
そんななか「製薬リストラの今後の最大の焦点になる」(市場関係者)と取り沙汰されているのが小野薬品工業だ。屋台骨であるがん免疫治療薬「オプジーボ」が2028年以降、順次、特許切れを迎えるためだ。31年までには日米欧の全てで独占販売権が消滅する。
オプジーボが小野薬品の売上高(24年3月期で5026億円)に占める比率は約6割。これがはがれ落ちることで生じる衝撃波はそれこそ「甚大なものになる」(同)に違いない。
無論、手は打ちつつある。6月には抗がん剤に強みを持つナスダック上場の米バイオ企業を24億ドルで買収。オプジーボの投与対象がん種の適応拡大などの開発も進める。刻々と切迫する時間との闘いでもある。