世論が求めるのは物価高対策なのに…自民総裁選で露呈した経済閣僚経験者「払底」の不毛
期待とは裏腹に不毛な議論に終わるのか。最新の世論調査の結果、自民党総裁選で最も議論してほしいテーマは物価高・景気対策など「経済」だ。どのメディアの調査でもダントツ。長引く物価高に賃上げが追いつかず、苦しい庶民生活を反映しているが、出馬を目指す議員から具体策は聞こえてこない。すでに正式表明した3人もしかりだ。
小林鷹之前経済安保相は「経済は財政に優先する」と自分のポリシーを語るのみ。石破茂元幹事長は今月発売の新著で「金融緩和の長期化で国の財務と日銀の財務が悪化した」とアベノミクスの弊害に触れた程度。河野太郎デジタル相は「分厚い中間層をもう一度つくっていく」と訴えるが、単なる願望に過ぎない。
いずれも抽象論の域を出ず、本命視される小泉進次郎元環境相も「経済政策は未知数」(自民党関係者)との評判だ。マトモな議論を期待するだけムダかもしれない。
その要因のひとつは党内における経済閣僚経験者の乏しさ。政権に返り咲いた2012年12月以降、財務・金融相に就いたのは、たった2人。安倍・菅両政権で戦後最長8年9カ月にわたって独占した麻生太郎副総裁と、現職の鈴木俊一氏だけだ。