名門・三井住友建設が赤字転落を発表…経営混乱で広がるメインバンクとの距離感
麻布台ヒルズのタワーマンションは19年に着工した。地下工事の工法変更や資材の不具合が相次ぎ、資材高騰もあり建設費が膨らんだ。当初は23年3月の完成予定だったが、1年8カ月が経過した今も建設途上だ。
■クーデター勃発
赤字転落とともに経営も混乱に陥った。今年2月には、三井住友銀行出身の近藤重敏社長の辞任を求める“クーデター”が勃発。社長派と反社長派に分かれての暗闘が繰り返された末、近藤氏と君島章兒会長が、混乱の責任をとって退任する事態となった。
三井住友建設が昨年5月に、赤字の元凶となっている麻布台ヒルズの工事について、外部の有識者も交えた調査委員会を立ち上げ、9月に調査報告書を取りまとめた。調査報告書では、難度の高い大深度の地下工事で工法変更が発生したことが原因と分析しているが、問題の根はガバナンスそのものにあるとの見方が強い。
「三井住友銀行出身の近藤氏が解任され、メインバンクの三井住友銀行が三井住友建設を見る目も変わってきている。一時は銀行主導で他のゼネコンとの統合を模索したが、現在では距離を置いているようだ」(メガバンク幹部)という。