大成建設が平和不動産をグループ化…アセット(資産)を狙ったM&A戦略の裏側
「丸の内(東京)の大家さん」と言えば三菱地所だ。丸ビルや新丸ビルをはじめ幾多の優良物件を大手町を含む同エリアに所有する。これに対し「兜町の大家さん」と呼ばれているのが、業界中堅の平和不動産。東京証券取引所が現在入居するビルのオーナーでもある。
その平和不動産を10日スーパーゼネコンの大成建設がグループ化した。平和不の実質筆頭株主で資産運用会社のシンプレクス・アセット・マネジメントと、資本提携先の三菱地所からそれぞれ保有平和不株の全部ないし一部を約292.22億円で取得。シンプレクスに代わり20.12%を出資する筆頭株主となり、持ち分法適用会社化に踏み切った。
平和不が兜町やそれに隣接する茅場町、札幌地区などに持つ不動産を活用して再開発事業を促進していくのが狙い。資本業務提携も締結し「建設事業とのシナジー追求」(関係者)を目指す。
シンプレクスからは同社が保有する16.3%の平和不株すべてを273.96億円で買い取った。一方、三菱地所からの取得は1.09%分(取得額18.26億円)で、大成が従来から持つ平和不株と合わせると持ち株比率は2割を超えるかたちとなる。