相次ぐ大規模再開発の見直し…日本も「コンパクトな都市づくり」の検討時期に
山口県岩国市のJR岩国駅西口も、20階建ての複合ビル建設を含む総事業費145億円の再開発計画が、建築費高騰の影響で1年程度の遅延を余儀なくされると今月発表された。市は24年度の補助金約10億円の支出を見送り、25年度予算に繰り越す方針だ。
皮肉なことに、大手ゼネコンの多くは過去最高の売り上げを更新しているという。だが、これは建築費高騰を織り込んだ結果に過ぎず、ゼネコン関係者によると「採算が合わないとして受注を見送った案件は1000億円分を超えているんじゃないか」と語る。
■新たな開発より古いライフラインの維持を
こうした状況に追い打ちをかけそうなのが、埼玉県八潮市で発生した水道管の老朽化による道路陥没事故だ。関係機関が懸命の救助活動を続けているものの事態は容易には収束せず、広域での排水制限の実施などにより住民生活にも影響が及んでいる。
実は全国の水道管のうち、2割以上がすでに耐用年数の40年を超えており、老朽化が顕著だ。これまで当たり前だったインフラの維持すら危ぶまれる状況で、市民の不安は高まるばかり。あるディベロッパーの社員も「新しい開発よりも古くなったライフライン維持を優先すべきとの声が高まる」と予想する。