石破政権vsトランプ関税は早くも「負け戦」確定か…交渉前から“お人よし”でカードを1枚失う

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4月1日から米国産品は関税引き下げ

 米国は本来、日米貿易協定に基づき日本車の関税をゼロにするはずが、逆に追加関税を発動。対して日本は、米国産牛肉などへの関税を予定通り引き下げたのである。

 財務省幹部は14日の予算委で「本年4月1日より、例えば牛肉については、税率が22.5%から21.6%へ引き下げられている」と明らかにした。

 改めて後藤氏に聞いた。

「いくら何でも『お人よし』が過ぎる。米国側が協定で交わした内容を誠実に履行していないわけですから、日本としては『約束した』関税引き下げを止めることも辞さない構えでギリギリの交渉ができたはずです。一度引き下げてしまった以上、引き上げはハードルが高い。交渉カードを1枚失ってしまい、非常にもったいない」

 約束を破る相手に“お行儀の良さ”で対抗してどうする。これではトランプ政権の暴走は止められそうにない。

トランプ大統領は自動車支援策検を検討

 トランプ米大統領は14日、ホワイトハウスで記者団の取材に対し、自動車メーカーの支援を検討していると明らかにした。

「カナダやメキシコなどから米国に生産を移す複数の自動車メーカーへの支援策を検討中だ。部品を米国内で製造しようとしているが、それには時間が必要だ」と説明。自動車部品への関税を減免する可能性がある。具体的な措置や時期には言及しなかった。

 スマホを巡っては、国別の貿易赤字を参考に独自に設けた「相互関税」から除外後、米閣僚が、今後導入を見込む半導体関税の対象になるとの見方を示した。トランプ大統領は今後の対応を問われ「私は自身の考えは変えないが、柔軟性はある」と述べるにとどめた。

 一方、医薬品を巡っては、「私たちは医薬品を国内で製造しておらず、製薬会社はアイルランドや中国などにある。関税率が高ければ高いほど彼らはより早く米国に進出する」と発言し、米国内での医薬品の生産に向けて関税を課す方針を改めて強調した。

  ◇  ◇  ◇

 日本の「交渉役」に抜擢された、石破首相の腹心、赤沢亮正経済再生担当大臣。過去に対米交渉を担ってきたのも経済再生相なので順当とはいえるものの、ちょっと荷が重すぎやしないかと不安視する声も。●関連記事【もっと読む】『トランプ関税「交渉役」に大抜擢…石破首相の腹心こと赤沢亮正経済再生相の“ホントの実力”』で詳報している。

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