「ワタミ」とスキマバイトの「タイミー」が業務提携…外食業界の人手不足解消になるのか
ワタミの渡辺美樹会長によれば、直接雇用バイトは平均3カ月で辞めるため、スキマバイトよりも人件費がかさむという。タイミーに3割の手数料を支払ったとしても、福利厚生まで含めれば、「山手線内なら収益はある」という。
だがスキマバイト特有の問題点もある。昨年、タイミーは闇バイトの募集を思わせる怪しい求人が混入していた問題で釈明を迫られる事態に。これは対策を施そうにも100%排除は不可能でもある。
今年3月には人材サービス最大手のリクルートがスキマバイト参入の断念を公表。「事業の優先順位」が低いことを理由に挙げたが、悪質求人のリスクが懸念されたことが理由の一つだとも推測される。
今回のワタミの取り組みも実験的施策だ。かつてのように履歴書を持参して面接、といった採用に比べ、スマホ一つというシステムは、勤怠トラブルが増加する可能性を払拭できていない。
今後は闇バイトの逆風も懸念されるが、今年3月に示された同社の業績予想は好調。株価も上昇している。一方、昨年7月に公表された同社の利用者状況では、20代の利用者が最多ながら、40~60代が約半数(47%)。いわゆる就職氷河期世代から上が多数を占めた。氷河期世代の駆け込み寺というプラスもあれば、格差の固定化をする業態という負の側面も垣間見られなくはない。
コロナ禍では居酒屋から焼き肉屋に業態転換したかと思えば唐揚げに手を出し、今度はファストフードへ。人手不足に悩む外食業界で生き残ってきた渡辺氏の登場で業界が抱える苦しい人材難は解消されるだろうか。
(ジャーナリスト・横関寿寛)