著者のコラム一覧
西村カリンジャーナリスト

仏の公共ラジオ「ラジオ・フランス」とリベラシオン紙の特派員。1970年、仏で生まれ、2004年末から20年までAFP通信東京支局特派員。近著に「Japon,la face cachée de la perfection(日本、完璧さの隠れた裏側)」、初の小説「L'affaire Midori(みどり事件)」。

袴田巌さんに無罪判決「検察官よ、世界が見ている。控訴を断念して下さい」

公開日: 更新日:

「被告人は無罪」──。9月26日、この文言は世界中に速報として報道された。

「死刑囚、袴田巌さんは無罪判決を言い渡された」

 初公判から傍聴してきた私もうれしくて涙が出た。やっと無罪になったと思う人が、フランスにも、米国にも、イギリスにも、ドイツにも、カナダにも、イタリアにも、どこでも大勢いる。

 袴田巌さんは世界で最も酷い扱いを受けた死刑囚として知られている。「無罪」と静岡地方裁判所の裁判長らが判断したが、まだ完全に安心できない状況だ。10月10日の23時59分59秒まで検察は控訴できる。

 強い呼びかけをしたい。検事総長の畝本直美さん、東京高等検察庁検事長の斎藤隆博さん、本件との関係がある検察官のみなさん、世界があなたたちを見ている、厳しい目で見ている。あなたたちの正しくて最もまともな判断を待っている。10月10日まで待たずに、直ちに唯一の人間性のある判断をして下さい。直ちに控訴を断念して下さい。

 もはや控訴どころではない。冤罪を認めるべきところだ。世界中に「やっと巌さんは無罪になった。この事件はついに終わりだ」と理解されている。検察が高すぎるプライドやメンツで控訴したら、日本の検察や司法制度はとんでもない批判を浴びる。「非人道的な控訴や精神的な拷問」というふうに海外で報道されるだろう。

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇