スキャンダラスな下半身ネタに味を占め、選挙ではSNSで「下の層」を取り込む
本来、政治と最も遠く離れた「誰と誰がセックスした」という話をドヤ顔で語ることで、自分たちにタブーなしとばかりに振る舞う。こうした言動にえらく感動してしまう人たちが一定数存在するのだ。
つまりN国党は、これまで「右」とか「左」で表現されてきた横軸のイデオロギーではなく、知性を縦軸とした「下」の層を開拓してきた政党だと言える。
N国党の台頭により、SNSを中心に「下」を取り込む動きが加速している。
兵庫県知事選で顕著になったのは、「オールドメディアに騙されるな」という言説だ。オールドメディアとは主にテレビや新聞を指す。ネットにこそ真実があり、オールドメディアはそれを隠し、既得権益を守る存在だという陰謀論が「下」の層にウケている。長い文章を読むのが不得手なこの層は、もともと新聞を読まず、ネットに渦巻くデマを信じ、自分たちこそ正義だと思い込んでいるからだ。 (敬称略=つづく)
▽選挙ウォッチャー ちだい 全国の選挙現場を取材、「note」などで報道。「『NHKから国民を守る党』とは何だったのか?」を上梓。N国党から名誉毀損で提訴されたが、昨年11月に1審勝訴。