新入札制度合意へ 選手会が震えたメジャーの「三行半」
<「システムはなかったことに」>
その瞬間、日本野球機構(NPB)も日本の選手会も、血の気が引いたという。
「日刊ゲンダイ」が再三報じてきた今月2日の電話交渉。大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会も含めた4者会談で、新しい入札制度(ポスティングシステム)が合意に達する予定だった。田中将大(25)のメジャー移籍は、新制度成立が大前提なのだ。
ところが、前日になって、日本プロ野球選手会がNPBに合意しないよう文書で申し入れ。当日の電話会議でその内容が米国サイドに伝わった直後、メジャー側はこう言って交渉の打ち切りを通告してきたらしい。
「わかった。それなら今回のシステムは、なかったことにしよう。我々は妥協するつもりはないので」
米国側の“三行半”に、日本側は大慌てだったと、在米ジャーナリストがこう言った。
「交渉の過程で、米国サイドは、選手会がよしとする自由契約による移籍は認めないと伝えています。つまり、新制度が合意に達しなければ、日本の選手がメジャーに行くには海外FAを利用するしかない。田中どころか海外FAを取得する以前の選手はすべて、移籍の道を閉ざされるわけです。選手会はおそらく米球界が欲しがる田中を使って有利な条件を引き出そうともくろんだのでしょうが、米国側が交渉を打ち切ってきたのは完全な想定外だったと聞いています」