ボール手前10センチからヘッドを返して振りぬく

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 90年代初頭、シニアツアーが年間25試合もあった頃、太田了介という名前さえ聞いたことのないプロがトップ10によく顔を出していた。

 どんなプロなんだろうと思って取材すると、30歳を過ぎてからゴルフを始め、プロテストに受かったのは何と38歳のとき。
 それなのにシニアツアーでは5勝を挙げているのだ。

 身長はわずか157センチ。それでいて弾道の高いドローボールで距離もよく出ていた。かなり高くティーアップし、ボールから10センチぐらい後ろにヘッドを離して構えている。アッパーブローに打つためだろうと思って聞いてみると、46インチの長尺ドライバーを使っているので、振り遅れないようにボールの10センチぐらい手前からヘッドを返してやるためだと、次のように言っていた。

「小さな体でドローボールを打つにはボールをヒットしてからヘッドを返そうとすると遅い。背が高くて手足の長い人ならごく普通にスイングすれば弾道の高いドローボールが打てるけど、身長が160センチもなかったら、ボールをヒットしてからヘッドを返そうとしたら遅い」

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